月下の恋

映画『Haunted』（1995年）は、インチキ霊能者や霊媒師を暴くことで知られるデイヴィッド・アッシュ教授が、秘密の多いエドブルック家からの招きを受けることから始まる。家族にまつわる恐怖と苦悩の解明を依頼され、冷静な論理と観察で真相を追うはずだった彼だが、屋敷に足を踏み入れると住人たちの奇妙な振る舞いや説明のつかない現象に直面する。教授の合理主義と超常の境界が徐々に揺らぎ始める過程が丁寧に描かれている。

やがてアッシュは、自分の五感さえも信じられなくなる不安と孤立感に囚われ、屋敷に潜む真実が単なる詐術では説明できないことを思い知らされる。家族の秘めた過去と屋敷の暗い歴史が交錯する中で、観る者は合理と恐怖の綱渡りに引き込まれ、心理的な緊張感と不可解な恐怖が静かに増幅していく。