ファンタズム

田舎の霧深い墓地を舞台に、十代の少年とその友人たちが不可解な脅威と対峙する。夜ごと墓地で目撃されるのは「背の高い男」と呼ばれる謎めいた死体処理人で、彼の出現を境に町には不気味な出来事が続発する。少年たちは失踪や奇怪な死体の変化を追ううちに、常識では説明のつかない恐怖へと引き込まれていく。

背の高い男は人間の手には余る超自然の兵器を操り、銀色に光る球体や異形の装置で標的を無慈悲に追い詰める。球体は高速で飛び回り、刃やドリルを露出させて肉体を切り裂くと同時に、生者や死者を異様な形で変容させていく。墓石の間に広がる通路や暗闇の向こうには、次元を超えたかのような異世界への入り口が潜んでいるかもしれないという不安が絶えず漂う。

視覚的には夢と悪夢が交錯するような映像美と、低予算ながらも効果的な音響演出が緊張感を煽る。この作品は単なるモンスター映画にとどまらず、死や喪失、現実の脆さをじわじわと刻みつけるカルトホラーとして評価されている。最後まで真相をつかませない不穏さが観る者の記憶に残り、夜ごと蘇る悪夢のように尾を引く。