ラストゲーム

刑務所にいる父親が、服役期間を短くするためにバスケットボールの有望な息子をある大学へ進学させるよう説得しなければならないという辛辣な条件を軸に物語が進む。単純な取引に見えるその依頼は、父と息子の関係に潜む過去の傷や未解決の感情を次々と炙り出していく。

父は息子を説得する使命を負いながらも、自分の自由と贖罪、そして本当に息子の幸せを願う心の間で激しく揺れる。息子側もまた、スポットライトと期待の中で自分の進路を決める重圧にさらされ、誰のために何を選ぶのかという根源的な問いに直面する。

試合の場面や交渉のシーンを通じて、名声や金銭、地域や家族への忠誠といった価値観がぶつかり合う。周囲の利害関係やメディアの注目が、親子の関係を複雑にし、選択は単なるスポーツキャリアの問題を超えた意味を持つようになる。

人間ドラマとしての深さと倫理的な葛藤を静かに、しかし確信をもって描いた作品であり、親子の赦しや再生、個人の意思決定の重みについて観る者に強く問いかける力がある。