
富江 tomie
19981hr 35min
過去のトラウマを忘れた若い女性が、催眠療法で失った記憶を取り戻そうとするところから物語は始まる。セラピストとのセッションで彼女が繰り返し口にするのはただ一つの名前、「富江(トミエ)」。その名前の由来は彼女の意識の奥底に深く埋もれており、断片的なイメージと不安だけが徐々に浮かび上がってくる。
同時並行で、凄惨な連続殺人事件を追う刑事が登場する。捜査の過程で浮かび上がるのは、被害者たちの周囲に共通する「トミエ」という名と、説明のつかない執着や狂気の痕跡だ。刑事とセラピスト、そして記憶を失った女性の視点が交差するにつれて、事件の輪郭は次第に歪んでいく。
本作は心理的なサスペンスと、不気味な超常性を巧みに織り交ぜたホラー映画だ。美しさと不気味さを併せ持つ存在が人々の感情を蝕み、記憶やアイデンティティを揺さぶる描写は、見る者に強い不安感と忘れがたい印象を残す。映像は静かな緊張感を重ね、時に衝撃的な場面でその静寂を破る。
結末へ向かうにつれ、真実は曖昧さを帯び、観客は現実と幻覚の境界で揺れることになる。人間の内面に潜む嫉妬や欲望、そして忘却された過去が絡み合うこの作品は、単なる怪奇譚を超えた心理劇としても楽しめるだろう。
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