マジェスティック

投げやりな都会の犯罪組織に立ち向かうのは、陽に焼けたメロン農家マジェスティク。穏やかな農作業の日常を送っていた彼のもとに、土地や労働を食い物にする組織の圧力が押し寄せる。正義感と自尊心から、妥協を拒む一人の男が静かに反撃を決意する。

事態はやがて雇われのヒットマンを招き入れるほど悪化し、田舎道や畑が戦場になる。マジェスティクは機転と力を合わせ、トラクターや農機具、地形を利用して追手を翻弄する。都会の冷酷さと田舎の逞しさがぶつかる中、緊張感は途切れない。

主演の無骨な存在感が際立つこの作品は、アクション映画でありながら人物描写を重視するドラマでもある。孤立無援の男がコミュニティの中でどう自分を守り、他者と関わっていくかが、静かにそして力強く描かれる。細部に宿る泥臭さとリアリズムが、70年代の空気を濃く伝えている。

最終的には、暴力と搾取に抗う小さな正義の勝利が見えてくる。単純な勧善懲悪ではなく、個人の誇りと生存を賭けた戦いが鮮烈に残る一作で、荒々しいがどこか人間味のある結末が心に響く。