
夢と狂気の王国
20131hr 58min
スタジオジブリの制作現場に密着したこのドキュメンタリーは、宮崎駿、高畑勲、鈴木敏夫という三人の巨匠を軸に、アニメーション制作の裏側と日常を静かに描き出す。撮影は、それぞれが取り組む長編アニメの制作期間に行われ、緻密な作業風景や会議、スタッフとのやり取りを通して、創作の現場における緊張感と笑いを伝える。映像は単なる制作過程の記録にとどまらず、作り手の思考や人間関係を豊かに映し出す。
宮崎駿の情熱と執念とも言えるこだわりは、細部への注意深さや完璧を追い求める姿勢として現れる。一方で高畑勲は穏やかな佇まいの中に深い哲学と時間をかける職人気質を見せ、二人の対照的な方法論がスタジオの空気を形作る。鈴木敏夫はプロデューサーとして両者の橋渡しをしながら、制作を支える現実的な判断と温かな視点を提供する。
画面にはセルや原画、アニメーターたちの手元が繰り返し登場し、一本の長編が出来上がるまでの地道な積み重ねが見えてくる。細かな修正や議論、時に起こる意見の衝突も否定せずに映し出すことで、創作が単なる才能の発露ではなく、不断の努力と協働の結果であることを示す。スタジオの片隅で交わされる何気ない会話や冗談が、人間味を与えている。
全体としては、名匠たちの青春や葛藤、そして老いと継承を静かに見つめる作品だ。映画を通じて観客は完成品だけでは見えない「つくること」の重さと美しさに触れ、スタジオジブリという場所が持つ独特の空気感と、そこに集う人々の情熱に心を動かされるだろう。
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