
攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX The Laughing Man
2030年。かつて「笑い男」と呼ばれる謎のハッカーが医療用ナノテクノロジー企業を標的に、サイバーテロ、誘拐、スパイ行為を次々と引き起こしてから六年が経過する。足跡をほとんど残さないその犯行に対し、新たな情報が浮上し、公安9課は再び“笑い男”の影を追うことになる。表向きは企業間の争いに見えても、その裏には情報操作や権力との癒着が渦巻いており、事件は国家規模の問題へと発展していく。
草薙素子を中心とした公安9課のメンバーたちは、高度に発達したサイバネティクスとネットワーク社会の中で、真実と虚構の境界を突き崩していく。バトーやトグサ、荒巻大輔らの個人的葛藤や職務への信念が捜査を通じて描かれ、テクノロジーが人間性に与える影響を鋭く問いかける。事件の核心に迫るにつれて、情報の改竄やメディア操作といった現代的テーマが浮かび上がり、単なるサイバーパンク・アクションに留まらない重みを持つ。
本作はテレビシリーズ「Stand Alone Complex」の“笑い男編”を再編集し、新規カットを加えた映画版として、より緊密な叙述と高密度な映像表現を実現している。洗練されたビジュアル、緻密なサウンドデザイン、そしてスリリングなサスペンスが融合し、観客を終始張り詰めた緊張感の中へと引き込む。サイバー空間と現実世界が交錯する演出は、視覚的にも思想的にも強い印象を残す。
テクノロジーが進展する現在だからこそ刺さる倫理的問い、個人のアイデンティティとプライバシーの脆弱さ、そして権力と情報の関係を描いた作品として、SFファンのみならず幅広い観客に訴える力がある。ミステリーと哲学、アクションが高い次元で結びついたこの映画は、シリーズのファンにはもちろん、近未来社会の問題を考えたい人にもおすすめできる一本だ。
Available Audio
Available Subtitles
Cast
No cast information available.