I'm Gonna Git You Sucka

ベトナム帰りのジャック・スペードは、幼い頃を過ごしたゲットーに戻る。そこでは兄ジューン・バグの死が街を震撼させ、権力を握る犯罪王ミスター・ビッグへの怒りが渦巻いている。兄の死をきっかけにジャックは私怨を超えた「戦い」を宣言し、街のために立ち上がることを決意する。

ジャックが頼るのは、かつて70年代に悪と戦った伝説のヒーローたちだ。中でも幼少期の憧れだったジョン・スレイドを軍師に迎え、ひと癖もふた癖もある元ヒーローたちを集めていく。作品はブレイクするアクションや誇張されたキャラクターを通して、当時のブレイクスルーやステレオタイプをユーモラスに風刺する。

派手なガジェットや決めゼリフ、過剰な演出が重なってコミカルなクライマックスへと向かうが、その底にはジャンルへの愛情と批評精神がある。アクション映画の祝祭であり風刺劇でもあるこの作品は、観客に笑いを提供しつつ70年代ヒーロー文化への郷愁と問いかけを同時に投げかける。