Reef Builders

2025年公開の映画『Reef Builders』は、白化と開発によって瀕死のサンゴ礁を舞台に、科学者、地元漁師、そして若い活動家たちが手を取り合って再生に挑む物語を描く。海中の息をのむ映像と陸上の人間模様を織り交ぜながら、最先端のサンゴ移植技術や遺伝学的アプローチと、世代を超えた伝統的知識がぶつかり、補完し合う過程が丁寧に追われる。主人公のマリ（女性の海洋生物学者）は故郷の海を取り戻すために戻り、科学的論争や政治的圧力、個人的な葛藤と向き合いながら成長していく。

映像美は本作の大きな魅力で、光が差し込む水中世界の細部までを捉えたカメラワークと、サンゴの微小な命の再生を描くクローズアップが印象的だ。物語は単なる環境保護のドキュメントに留まらず、地域社会の再生や経済的な現実、倫理的な判断を通じて「誰のための再生か」を問いかける。終盤に向けては希望と緊迫が交錯し、観客に行動の必要性と自然との共生の可能性を静かに訴えかける一作となっている。