機動警察パトレイバー the Movie

1989年の『パトレイバー 劇場版』は、不可解な自殺事件と、突如として暴走し始めた無人レイバー群が東京を混乱に陥れるところから始まる。産業用レイバー数千台に共通する疑わしいソフトウェアの痕跡を追って、警視庁特車二課が捜査に乗り出す。現場では実機を使った迫力あるパトロールと、情報操作や企業・行政の利害が交錯する静かな緊張感が同居し、単なるメカアクションを超えたサスペンスが展開される。

物語はテクノロジーの暴走と人間の責任を問いかける社会派ドラマとしての側面を強く打ち出し、緻密な脚本と陰影のある演出で都市の不安を描き出す。機械描写のリアリティと、捜査官たちの人間味あるやり取りがバランスよく配され、アニメーション表現の幅を広げた名作として今なお高く評価されている。