フープ・ドリームス

シカゴのインナーシティ出身のティーン、ウィリアム・ゲイツとアーサー・エイジーが、片道90分をかけてイリノイ州ウェストチェスターのセント・ジョセフ高校に通う日々を追ったドキュメンタリー。白人が多い郊外の名門バスケットボール校でプレーする彼らの姿は、単なる高校スポーツの物語を超え、都市と郊外、貧困と期待といった社会的な境界線を浮き彫りにする。

二人はNBAのスターになることを夢見ているが、その道は決して一直線ではない。家族や地域の支えを受けながら、怪我や学業、スカウトや制度の壁といった現実的な障害と向き合い、時には挫折し、時には希望を取り戻す。長い通学、練習、試合の繰り返しの中で見えるのは、華やかな未来像だけでなく日々の犠牲と苦労だ。

この作品は5年にわたって撮影され、個人の成長と同時にアメリカ社会の複雑さを克明に描き出す。スポーツドキュメンタリーの枠を超えた深い共感と厳しい現実の提示により高く評価され、観る者に成功の裏にある現実と、人間の粘り強さについて考えさせる力を持っている。