フォックス・リッチの揺るがぬ意志と家族愛を中心に据え、長年にわたる夫の投獄からの解放をめぐる闘いを追った作品。日常の家族の温かさと刑務所制度が及ぼす影響が対比され、母として、活動家としての彼女の姿が丁寧に描かれている。長期異動や経済的負担、司法の硬直に直面しながらも希望を失わないその姿は、個人的な物語を普遍的な正義の問いへと昇華させる。
映像は私的なホームビデオと法廷や抗議の場面を織り交ぜ、静かな詩情と鋭い社会批評を同居させる。時間の流れと人々の忍耐を映す編集は、単なる事件報告を越えて家族の絆と赦し、制度改革への呼びかけを深く心に残す。観る者に個人の闘いが社会全体に及ぼす影響を考えさせる、力強く感動的なドキュメンタリーである。