ボルネオの熱帯林を背景に、若いケリアがパーム油プランテーションで倒れていた赤ちゃんオランウータンを救うところから物語は始まる。父の働く土地と森の境界で、ケリアは傷ついた小さな命に「オシ」と名付け、家族のように育てようとする。そこへ、先住民と伐採業者の衝突を逃れてきたいとこのセライが身を寄せ、3人は互いに支え合いながら、破壊される森と向き合っていく。
映画は自然の美しさと暴力の対比を鮮烈に描き、個人の絆とコミュニティの抵抗を通して環境破壊の現実を映し出す。ケリアとセライ、そしてオシの存在が、失われつつある森の声となり、彼らが下す選択は地域の歴史や権利、未来に直結する。緊張と哀しみの中にも希望を抱かせる映像詩であり、観客に共感と行動を促す力強い作品である。