Muromachi Burai

室町時代、応仁の乱の夜明け前という揺らぐ京都を舞台に、アウトローたちが刃を交える群像劇。一匹狼のような風貌を持つ兵衛（Oizumi）は、血の匂いを嗅ぎ分けるような剣の才で仲間を率い、腐敗した幕府とその軍勢に対して命を賭した蜂起を挑む。荒廃する街並み、灰色に染まる空、そして火花散る斬り合いを映し出す映像美は、歴史の混沌と個人の正義が交錯する瞬間を鮮烈に描く。

かつての盟友であり、今は宿命の敵となった道憲（Tsutsumi）との対峙は、本作の感情的核。友情と裏切り、理念と欲望の間で揺れる人物たちの細やかな表情と決断が、単なるアクション映画を超えて時代劇の深みを増している。激烈な剣戟のなかにも人間の脆さと強さが同居し、観る者に問いを投げかける力強い一篇。