妻を亡くした父親が、息子とともに新しい生活を求めて何かを変えようと決意する。行き当たりばったりで目をつけたのは、現地も見ずに購入した貸し倉庫施設だった。無機質な金属の扉と静寂に包まれた場所は、一見すると再出発のための隠れ家のように思えたが、やがてそこに眠るものたちが二人の生活を蝕み始める。
扉の向こうに沈んだ記憶や隠された物品が次々と姿を現し、父親は保護者としての責務と向き合わざるを得なくなる。息子を守りながら過去の痛みと直接対峙するなかで、恐怖は単なる外的脅威を超え、心に巣食う後悔や喪失感をむき出しにする。静かな倉庫の通路で高まる緊張と切実な親子の絆が交錯する、本格派のサスペンス・スリラー。