カリフォルニアのフォークロックの孤高の才人、ジュディ・シルの知られざる人生を追ったドキュメンタリー。たった2年で車上生活からローリング・ストーンの表紙へと駆け上がった驚異的な転機、そして波乱に満ちた青春期や芸術的葛藤を丹念に描き出す。彼女の楽曲や歌声がどのように生まれ、深い傷と希望が織り交ざっていたのかを克明に辿る。
未公開のアーカイブ映像や親しい人々の証言を織り交ぜ、表舞台に出ない側面も含めた全体像を浮かび上がらせる。観客は天才的な創造力と自己破壊的な側面、その音楽が今に残す普遍的な力を改めて実感するだろう。美しい映像と誠実な語り口で、彼女の悲喜こもごもを静かに見つめ直す一作だ。